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「社会全体で子どもたちを守る いじめ防止セミナー」を開催しました

いじめ問題について、一人一人の大人ができることを考えるため、「社会全体で子どもたちを守る いじめ防止セミナー」を開催しました。
当日は、宮城教育大学教職大学院の久保順也教授による講演の後に、パネルディスカッションを行いました。

※開会のあいさつをする郡和子市長

日時

令和6年2月18日(日曜日)13:30~15:30

会場

せんだいメディアテーク

講演「自分も相手も大切にする子どもを育むために、大人ができること」

講師:宮城教育大学教職大学院 教授 久保順也 氏

※講演する久保順也氏

【主な内容】

●いじめの定義

  • ・攻撃の意図を問わず、被害者が心身の苦痛を感じていれば全ていじめとなる。
  • ・思い違いレベルのものまで含まれる広い定義だが、いじめなのか迷うより、傷ついている人がいるなら無視できないという考え方が重要だと捉えている。

●認知件数

  • ・いじめは大きな被害が伴うイメージがあるが、傷つけるつもりがない行為や思いのすれ違いといった、意図しないいじめの方が件数は多い。
  • ・認知件数は、教員等がいじめを見逃さないことで増えるので、件数が多いことについて文部科学省は肯定的に捉えている。
  • ・一方、件数が多いということは傷ついている子どもが多いということであり、何とかしなければならないという思いも強くする。

●多様性を知り、他者を大切にする心を育む

  • ・人はそれぞれ違うという多様性が世界的に共有されてきている。子どもたちが多様性を知っていくために、大人こそが抵抗感を持たず、新しいことを知っていくことが大事だ。
  • ・多様性を尊重していくためには、「I am OK(自己肯定)」と「You are OK(他者肯定)」がともに重要となる。
  • ・大人が子どもに「You are OK」を伝えることで、子どもの「I am OK」が育まれ、他者に「You are OK」を発していくことができる。自分が大切にされるからこそ他者を大切にできる。

●子どもの話を聞く

  • ・子どもたちのために大人ができる最初のステップは、子どもの話を聞くこと。
  • ・「子どもの話を聞く」ということは、「子どもの言いなりになる」ということではなく、言葉の背景にある思いを知ろうとし、思いを受け止めること。
  • ・急に子どもの気持ちを聞くのは難しい。普段から子どもとのコミュニケーションを積み重ねておくことで、いざというときに「あなたの気持ちを聞かせて」と子どもに伝えやすくなる。

●大人が子どもの見本になる

  • ・「助けてと話したら大人に迷惑がかかる」と子どもは気を使っている。
  • ・大人でも一人では生きていけない。普段から子どもの前でも、つらいときや助けてほしいときなどは言葉にする姿を示し、「困ったときは助けを求めていい」ということを見せたい。

●コミュニティの一員としての責任を果たす

  • ・いじめにおいては、責任という言葉が出てきたとき、「誰が悪いのか」ということが焦点になることが多いが、責任には「果たすべき役割」という意味もある。
  • ・傷ついた人をコミュニティのメンバー全員で回復させる。それがコミュニティの一員としての責任であることを、子どもたちには気づいてほしいし、我々大人は気づかせてあげたい。

パネルディスカッション

モデレーター

久保 順也 氏

パネリスト

佐藤 あり紗 氏(元女子バレーボール日本代表)
齋藤 浩一 氏(元小学校長)
佐藤 真奈 氏(仙台市PTA協議会副会長)

「子どもの健やかな成長を支えるために、私たち一人一人が心掛けたいこと」「大人が子どもに与える影響について」をテーマに、保護者の立場、学校の立場、それ以外の立場から活発な議論が行われました。

テーマ1 子どもの健やかな成長を支えるために、私たち一人一人が心掛けたいこと

【佐藤 あり紗 氏】

 私自身、悩みがあるときサポートしてくれる仲間がいたから乗り越えられたので、学校の訪問活動などを通して、子どもたちに、お互いを思いやる心の大切さを伝えている。
 監督時代、選手がお互いについてよく知るために、練習前に自由に発言する場を作っていた。練習に来るのが楽しい、学校に来るのが楽しいと思える下地作りが大事だと思う。

【齋藤 浩一 氏】

 教員は指導的な対応になりがちだが、カウンセリング的な対応も大事だ。まずは子どもの話をしっかり聞き、多様な子どもがいることを理解したうえで、良いところを伸ばしていくことが大切だ。

【佐藤 真奈 氏】

 PTA協議会で標語コンクールを行っているが、「『ただいま』の声のトーンでわかるのよ。今日のあなたの一日が。」という作品を見て、とても共感できた。なるべく子どもに話しかけて、何気ない会話や表情から小さい変化に気づけるように心掛けている。

テーマ2 大人が子どもに与える影響について

【佐藤 あり紗 氏】

 子どもたちと接する際は、「教える」ではなく「伝える」ことを意識し、子どもたちと対等な立場でやり取りすることを心掛けている。
 また、挑戦した結果だめでも、それはうまくいくためのプロセスなのでどんどん挑戦してほしいこと、縁があって一緒にいる仲間として、一人一人がお互いを思いやってほしいことを伝えている。

【齋藤 浩一 氏】

 大人の態度や発言は、子どもに影響を与えるので、子どもたちから見られている、真似されるという前提で行動する必要がある。
 学校以外の場面でも言えることだが「~しなければいけない」という指導だけでは子どもは頑張れない。大人が、子どもができるまで待つことや、別な方法を一緒に考えることも必要だ。

【佐藤 真奈 氏】

 私の息子の経験であるが、学校でフルーツバスケットをした時、息子は先生とは違うルールの案を出したことがあったそうだ。その時、先生は「そっちのルールも楽しいね」と肯定的に話してくれて、息子は「自分の意見を言っていいんだ」と感じることができたそうだ。
 一方で、特別な発言をした子どもが、先生に「今はそれを言うところではない」などと言われ、クラスの和を乱したようになり、登校を足踏みしてしまった家庭の話なども聞いたことがある。
 大人が子どもの気持ちを汲むことで、子どもたちはいかようにも居場所を作れると感じている。

モデレーター(久保順也氏)からのコメント

 皆さんの話を聞いて、学校や家庭、それ以外でも、子どもに対して一方的に与える、命令するのではなくて、伝える、一緒に考える、子どもと同じ目線で接していくという努力が大切だと感じた。そういったことが、あらゆる場面で行われていくことで、子どもたちが自分は大切にされていると感じられるようになり、いじめの予防にも繋がっていくのだと思う。
 いじめの事実を追求するだけではなく、いじめが起きないコミュニティを作ることが大事だ。一人一人が自分に何ができるかを考えることが積み重なることで、社会全体にいじめ防止の意識が広がっていくのだと思う。

来場者からの声(来場者アンケートより)

  • ・「子どもの話を聞く」ということや「大人が子どもの見本になる」ということなど、もう一度自分のこととして考えるきっかけとなった。
  • ・他者理解と寛容が大切であることを、子どもも大人も考えることが必要だと思う。
  • ・子どもは大人を見ている。大人社会でハラスメントなどがあることを思うと、自らのことも振り返る必要があると感じた。
  • ・大人から子どもへの「You are OK」が、子どもの「I am OK」を育むということは、改めて大切なことだと思った。
  • ・子どもの自己肯定感を育むために、学校や保護者以外の立場から何ができるのか、思いを巡らせる機会となった。
  • ・子どもの話を聞き、うれしいことからつらいことまで受け止め、安心を与えられる存在になりたいと思った。
  • ・いじめについて責任の所在を明らかにすべしとよく言われるが、大人がいじめを自分事として「何ができるか」と問いかけることが大切、という話に感銘を受けた。