イベント・セミナー

令和6年度「社会全体で子どもたちを守る いじめ防止セミナー」を開催しました

令和7年1月18日(土曜日)、「こどもとの関わりや自己肯定感」をテーマに、「社会全体で子どもたちを守る いじめ防止セミナー」を、日立システムズホール仙台で開催しました。
当日は、元体操競技日本代表の亀山耕平さん(仙台市出身)による講演のほか、日頃から地域の行事や学校での活動において、こどもたちと関わっている方々によるパネルディスカッションを行いました。

講演「自己肯定感を高める指導」

講師:タートルパートナーズ株式会社代表 亀山 耕平 氏(元体操競技オリンピック日本代表)

アスリートの視点から考えるいじめ防止や、こどもたちの自己肯定感を高めていくことの大切さについて、自身のアスリートとしての経験を交えながら講演いただきました。

  • ・こどもたちが成功への関心が希薄になっていること、将来や社会に対して不安や絶望を抱えていることなど、こどもたちの意識や取り巻く環境に課題があるのではないか。
  • ・ネガティブなことでもポジティブに考えることが大切であり、自分に言い聞かせることで、心身ともに良い影響をもたらす。
  • ・こどもたちの体も心も「健全」であることが重要であり、体と心がともに成長していくことが、いじめ防止にもつながっていくと考えている。

パネルディスカッション「自己肯定感を高める地域の方々の関わり」

パネリスト

  • 亀山 耕平 氏(タートルパートナーズ株式会社代表)
  • 松﨑 由美子 氏(国見小学校 学校支援地域本部スーパーバイザー)
  • 嶺岸 祐子 氏(生出中学校 特別非常勤講師)
  • 庄子 康一 氏(荒町商店街振興組合 副理事長)

こどもとの関わり、自己肯定感を高める声掛け、地域の役割等についてお話しいただきました。

亀山 耕平 氏

こどもたちにできていないことを「できたね!」と褒めると、「できていないのに」という疑問がこどもの中に残ってしまう。なんでも褒めればいいというものではなく、できていない部分を具体的に指摘することが大切である。
こどもたちが自分で乗り越え、成功を経験することが、成長や自信につながっていくため、そういった経験が大切だと感じている。

松﨑 由美子 氏

国見小学校での「家庭科ボランティア」や「登山ボランティア」などのほか、地域の団体で構成する「学びのコミュニティ小萩」を設立し、体験型のイベント「小萩フェスティバル」などの活動に取り組んでいる。
ボランティアで関わる小学1年生から6年生までは成長過程に幅があるため、1年生に対しては、色々なことを自分ひとりでできるようになるまで、励ます声がけを意識し、5、6年生に対しては、困り事や何かに失敗した際に、一緒に原因を考えたり、やり直すためのサポートが中心となっている。こどもたちは何かで失敗した際、焦ったり落ち込んだりすることも多いが、そのような時は失敗をプラスに考えるような声がけを意識している。

今のこどもたちは受け身になっている子が多いと感じている。
体験型のイベントでは、スタッフやブース出展など、こどもたち自身がやりたいことをやらせており、こどもたちの学びの場にもなっている。
地域でできることは限られるが、そのような場を地域で作ることが大切だと考えている。

※松﨑由美子さん(右)

嶺岸 祐子 氏

生出地域には古くから「生出森八幡神楽」があり、生出中学校で「神楽の指導」に取り組んでいる。今年度は2年生と1年生の篠笛の指導を担当した。
うまく吹けない子には、意欲が下がってしまわないよう、頑張っている姿を具体的に褒めるようにしている。また、吹ける子に対しては、次はこんなことをやってみようなど、目標や改善点を示すような声がけを行ってきた。
一人ひとりをしっかり見て、その子に合わせた声がけや適切な支援を行うなど、認める姿勢が大事だと思っている。
神楽の活動を通して、最初は難しいことでも徐々にできるようになり、周りの人に褒められたり、色々な場で発表ができて楽しかったということを、こどもたちには体験してほしいと考えている。

※嶺岸祐子さん(左)

庄子 康一 氏

荒町商店街振興組合として、荒町小学校のこどもたちに「回文うちわづくり」などを教えているほか、仙台荒町子まもりプロジェクト※として、五橋中学校の生徒を対象に「防犯ポスターコンクール」などの活動に取り組んでいる。
※荒町学区内のあらゆる機関や団体、商店、企業が連携し、こどもたちの防犯に取り組む活動

回文うちわづくりでは、言葉選びや塗り絵など、工程ごとに褒める場面がたくさんあり、こども自身が新しいアイデアを考えて実践している時などは、特に褒めるよう心がけている。
そのほか、荒町で実施しているハロウィンイベントでは、商店街約40店舗が参加し、500人ほどのこどもたちが店舗を回ることで、顔の見える関係を構築し、防犯上いつでも店に駆け込める環境を地域全体で作っている。また、こどもたちにもイベントにおける役割を持たせることにより、こどもたち自身の防犯に対する意識向上にもつながっていると感じている。

私たちが地域の良さを伝えていくことで、こどもたちに荒町を誇りに思ってほしいとの思いで活動している。

※庄子康一さん(右)

来場者からの声(来場者アンケートより)

  • ・学校以外にも自分が熱中してできること(居場所をつくること)を見つけることは大事だと思いました。
  • ・大人が背中を見せて、こどもが憧れる大人、親になることが、いじめ防止にもつながる。そのとおりだと思いました。
  • ・大人もこどもも、自分を大切にすること、自分を愛してあげることが大事だと痛感しました。
  • ・単に肯定的な言葉をかけるよりも相手としっかり向き合い、具体的に伝えることで、こどもは納得感や認められているという感覚が得られると理解できた。
  • ・地域住民など様々な立場の大人が関わることにより、こどもたちによい影響を与えることができると改めて思いました。